概要

いまさら『五等分の花嫁』を読んだ。

その感想を書いていく。

結論だけ先に言うと、途中まではめちゃくちゃ面白くて途中からは微妙だった。

盛大にネタバレも含むので注意。

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五等分の花嫁 (1)

五等分の花嫁 (1)

1行で分かる五等分の花嫁

見た目がそっくりな五つ子のヒロイン達とその家庭教師である主人公の風太郎によるラブコメ。

途中までは面白い

途中まではかなり面白かった。具体的に言うと二乃の告白まで。

特に林間学校編と二乃の告白はすごく良かった。

林間学校編ではラブコメにミステリー要素を加えるという試みが行われていて斬新で面白いし、二乃の告白のシーンも今までのラブコメの常識をあえて破壊するものになっていて意表を突かれた。

調べてないけどこの2つは世間でも特に人気が高いエピソードなんじゃないだろうか?すごく面白かった。

後半は個人的には微妙

二乃の告白以降は無理にミステリー要素を入れようとして展開がちぐはぐになっているように感じた。

代表例としてスクランブルエッグ編がある。

スクランブルエッグ編では五つ子の誰かが五女の五月に変装して、主人公の風太郎に家庭教師をやめるように言い捨てる。

風太郎はなぜ家庭教師をやめてほしいのかその理由を問うために五月に変装していた犯人を突き止めようとする。

スクランブルエッグ編のミステリー要素は「誰が五月に変装していたのか」ということだ。

作中で読者に提示されたヒントは2つ。

  1. 偽物の五月の足にはあざがあった

  2. 長女の一花の足にもあざがあった

賢い皆さんならもう誰が偽物の五月なのかお分かりかと思う。

そう、偽物の五月の正体は〜〜〜〜?

三女の三玖でした。

いや、こんなん分かるか!!!

  1. 一花が偽五月でない根拠

  2. 三玖が偽五月である根拠

この両方は特に描かれることなく、スクランブルエッグ編は終了してしまう。

百歩譲って三玖が偽五月である根拠は無くても良しとしよう。

一旦ミステリー要素を忘れてただのラブコメだと割り切れば、いちいち起こった出来事に対してその根拠など必要ないからだ。

ただ、ラブコメだと割り切ったとしても「一花が偽五月ではない根拠」は必要だろう。

これが無いと一花のあざの描写は何だったんだ?となってしまう。

批判ばかりしていても芸がないので、ここで創作の才能ゼロの自分が納得できるストーリーを提案してみよう。

  1. 風太郎が偽五月の右足にあざを発見する

  2. 風太郎が鏡越しに一花の右足にあざがあるのを発見する

  3. 風太郎が「偽五月は一花だ」と思い込む

  4. よく考えると鏡で反転してるから一花のあざは左足だと気づく

どうだろうか?

めちゃくちゃベタだし改善の余地は大量にあると思うが、要するにこういう描写があれば一花のあざの描写もミスリードとして許容できるということを言いたいのだ。

「偽五月にはあざがあります」

「一花にもあざがあります」

「ただし、偽五月は三玖です」

これだけだとちょっと厳しいんじゃないかなあ…。

その後もチグハグな描写は続く…

一花のあざに代表される「一見するとミステリーを解くヒントになりそうで特に意味のない描写」はこれ以降も頻繁に現れる。

二乃の告白以降は終始ミステリー要素を無理に足そうとしてちぐはぐになっている印象だ。

作者はとっくにネタ切れしているのに読者が考察要素を要求し続けた結果、こういう感じになってしまったのではないかと推察する。

こういう意味のないミスリードを楽しめる人もいるんだろうが、個人的にはノイズに感じてしまった。

いっそミステリー要素を捨てて純粋なラブコメに振り切ってくれる方が楽しめた気がする。